[16日 ロイター] - 今週18─19日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、量的緩和策の将来をめぐる議論で重要な岐路となる。米連邦準備理事会(FRB)が月額850億ドルの資産買い入れ規模の縮小を決定する可能性は低いが、今後の出口をめぐる議論が活発に行われる見通し。
2008年の金融危機以来、米経済はFRBによる大規模な景気支援措置に下支えされてきた。
資産買い入れ措置は縮小局面に近づいているとの見方で政策当局者の間ではコンセンサスが形成されつつある。ただ、資産買い入れ規模の縮小に着手する時期をめぐっては、依然見方が分かれている。
ここ数週間、バーナンキ議長をはじめ緩和策を最も支持する向きでさえ、資産買い入れプログラムの縮小に積極的な姿勢を示し始めている。一方、資産買い入れプログラムに反対していた向きは、縮小開始の時期が来たと主張し、緩和策が長期に及べば及ぶほどFRBの市場への影響力が低下することを懸念している。
フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁はロイターとの最近のインタビューで、良好な経済指標にもかかわらず、われわれは緩和策の縮小に向けた措置をとっておらず、FRBにはそれを行う能力や意欲がないと市場が受け止めることを懸念している、と述べた。
一方、バーナンキFRB議長が5月22日に「今後数回の会合で」資産買い入れ規模のペースを落とす可能性に言及して以来、世界的に債券利回りが上昇し、株価が下落、金融市場が不安定な動きを続けている。
FRBは慎重な対応を迫られている。緩和策縮小に向け早期に動き過ぎれば市場を混乱させ、景気回復に影響を与えかねない。FRBは市場にも配慮するバランスが求められている。
ただ、FRB内の議論の方向は、緩和策縮小に近づきつつあることは間違いない。FRB内でもハト派のエバンズ・シカゴ地区連銀総裁、ウィリアムズ・サンフランシスコ地区連銀総裁、ローゼングレン・ボストン地区連銀総裁も資産買い入れ縮小を支持し始めている。
<緊張状態の市場>
バーナンキFRB議長が先月の議会証言時に「今後数回の会合で」と言及したことを受け、これまで年末近くとみられていた出口が9月に向け意識され始めた。
一部のアナリストは議長の発言について、市場を目覚めさせ、景気に注意を払わせようとする意図的なものだ、と指摘する。
仮に議長の意図するものがそうだとしたら、目的は果たせたといえる。10年債利回りは1年超ぶり高水準に迫っている。債券市場のボラティリティは急激に高まった。メリルリンチのボラティリティ期待指数<.MERMOVE1M>は5月9日の過去最低水準から55%超上昇した。
ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)は先週、若干緊張状態の市場は金融政策に対する期待を調整するためにFRBがまさに望んでいることかもしれない、と述べた。
同CEOは「最良の方法で行うには、市場に若干の不透明感をつくることだ」と語った。
債券利回りを今上昇させておけば、債券市場の過熱感を少し取り除き、実際に債券買い入れ縮小を始めた時にスムーズにいく可能性がある。一方で、米景気の回復力を損ねるリスクもある。
バンク・オブ・ウエストの首席エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「市場に多くの混乱をもたらした。経済指標をみるとまだ十分強さはみられない。債券買い入れ縮小に必要な労働市場の強さは確認できない」と語った。
議長の議会証言を受け早期の利上げ観測も高まった。議長の証言前に金利先物は利上げ開始時期を2015年4月と織り込んでいたが、先週初めは2014年10月を織り込む水準となった。その後早期利上げ観測は若干後退し、14日には2015年1月となった。ただ、それでも早すぎるかもしれない。
FRBはインフレが目標水準である2%を大幅に突破する脅威がない限り、失業率が6.5%に下がるまでは利上げを検討しないとしている。FRBの直近の見通しでは、失業率は2015年までその水準には下がらない見通し。FRBは19日に最新見通しを公表する。