桐光学園FW西川潤、エースお目覚めの2発で4強 監督「“火事場のクソ力”を出せた」

今大会初得点から2発で西京撃破、2年連続4強「勝ち切れたことが良かった」
 灼熱の沖縄で開催されている全国高校総体(インターハイ)のサッカー男子は30日で4強が出揃った。昨年準優勝の桐光学園(神奈川)は西京(山口)を2-1で下し、京都橘(京都)と戦う準決勝に駒を進めた。

 試合を動かし、そして決めたのは、やはり頼れるエースだった。

 0-0で折り返した後半6分、FW西川潤(3年)が左サイドのFW佐々木ムライヨセフ(3年)からの折り返しを左足で決めて先制。「練習でやってきた通りの形」と納得の今大会初得点が生まれた。その後、一時は同点に追いつかれたものの後半アディショナルタイムに味方が獲得したPKを冷静に決め、これが決勝点に。「連戦の疲労がある中でしっかり勝ち切れたことが良かった」と汗を拭った。

 過密日程に酷暑が重なり、この日は西京の粘り強いプレーにも苦しめられた。桐光学園はボールロストの多い単調な攻撃ばかりで、西川も前半は思うようにボールが受けられず味方とのパス交換で息が合わない場面も散見された。これにはチームを率いる鈴木勝大監督は「チームのどこかに慢心があったかもしれないし、前半に一度だけあったピンチも集中力の問題だった」と全体的に辛口評価だった。

 それでも後半開始時から4バックへシステム変更し、流れを引き寄せる。攻撃にテンポが生まれるようになってからは地力の差を見せてゲームを支配し、押し込んだ状態から前述の2得点が生まれた。PK戦の前に決着させたことについて、鈴木監督は「前後半70分でゲームを決められたのは大きい。“火事場のクソ力”を出せた」と選手たちの頑張りを労った。

昨年は決勝で敗戦、西川「ここまできて去年の悔しさが蘇ってきた」
 注目の西川は主将と背番号10を兼任し、さらにC大阪への加入内定やU-20ワールドカップ(W杯)出場という肩書きを持つ。背負うものが多くなるにつれて、プレッシャーも大きくなるだろう。しかし、鈴木監督曰く「ビッグスターはそれをものともせずプレーする」。注目されている大会のチームが苦しい場面で結果を残してこそ、本当の意味で“特別な存在”になる。

 今年に入って3月にプロデビューを飾り、6月には飛び級でのU-20W杯出場と、チームを離れる機会が増えた。連係やコミュニケーションなどの面で世代を代表する選手なりの悩みや難しさを抱えているが「声をかけて周りに伝えることも意識してやっている。それは高いレベルでプレーして学んだこと」と貴重な経験をチームに還元している。

 昨年は決勝で山梨学院(山梨)に敗れて、タイトル目前で涙を呑んだ。ベスト4入りを達成しても満足するはずがなく「ここまできて去年の悔しさが蘇ってきた。モチベーションはさらに上がってきた」と言葉に力を込める。得点という形でついに目覚めたエースが、桐光学園を初のインターハイ制覇に導いていく。

 ◇インターハイのサッカーは7月26日から8月1日まで熱戦が繰り広げられる。今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。