桐光学園、耐えに耐えて2年連続決勝 FW西川潤が土壇場V弾「最後に決め切れた」

イメージ 1

後半ATにエース西川のゴールで京都橘を撃破、試合展開は「ハラハラしながら」
 耐えに耐えて、苦しみ抜いた先に、ファイナルの舞台が待っていた。

 31日、全国高校総体(インターハイ)の準決勝2試合が行われ、前回大会準優勝の桐光学園(神奈川)が京都橘(京都)を1-0で破り、2年連続となる決勝進出を果たした。

 注目の一戦は「どちらのチームもテンション高くゲームに入った」(桐光学園鈴木勝大監督)。個と組織の両方で高校年代トップクラスの両チームが、序盤から激しくぶつかり合う展開に。両チームにチャンスとピンチの両方がある中でもゴールは生まれず、スコアレスのまま折り返す。

 後半に入って主導権を握ったのは京都橘だった。試合全体のシュート数は11対6と大差にならなかったが、CKは京都橘の10本に対し、桐光学園はわずかに2本。前回準優勝校が圧倒的に押し込まれていることを示すデータで、前線でチャンスを待つFW西川潤(3年)は「ハラハラしながら」多くの時間を過ごした。

 これに桐光学園は持ち前の守備力で対抗していく。鈴木監督が掲げる「粘り強い守備」をチーム全体で体現。愚直なまでに体を張ったディフェンスと、仲間同士が鼓舞し合う声で集中力を保つ。

 30日に行われた準々決勝・西京(山口)戦は後半から4バックへシステム変更し、攻撃のリズムチェンジを図った。しかし、この日は試合開始時からの3バックを最後まで貫いた。「バランスが崩れていなかったし、辛抱強くやっていたのでそのまま戦った」(鈴木監督)という言葉からも、桐光学園は守備のリズムを失っていなかった。

昨年は決勝で涙、桐光学園が培った“らしさ”で初のインターハイ制覇へ
 ディフェンシブサードでの頑張りは、後半ディショナルタイムに最高の形で報われる。カウンターからMF佐々木ムライヨセフ(3年)が左サイドを単騎突破。中央への折り返しを西川がきっちり決めた。前半に3度の決定機を外していたからこそ、「2~3点は決められたと思う。ちょっと力み過ぎた。でも最後に決め切ることができて良かった」と喜びもひとしおだ。

 アシストに成功した佐々木はもともとFWの選手だ。ウイングバックで起用されるようになったのは今年の6月からと経験値不足は否めない。それでも「守備を6割くらいで考えて、前へ行けるは出ていく」と狙いを持って試合に臨み、最後は本来の攻撃性能を発揮。不慣れな守備で奮闘しながら、試合終了間際の単独突破で決勝点を生み出した。

 2試合連続で計3得点を挙げている西川が注目を浴びるのは当然のこと。しかし、桐光学園の強さは西川だけにあらず。決勝で涙を呑んだ昨年のインターハイ決勝と、まさかの0-5で大敗した昨年度の冬の選手権を経て、一歩一歩粘り強さを増してきた。迎える決勝でも桐光学園が培ってきた“らしさ”を出せれば、初めてのインターハイ制覇が見えてくるだろう。

◇インターハイのサッカーは7月26日から8月1日まで熱戦が繰り広げられる。今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。