7月24日(火)16時56分配信
米大リーグ、マリナーズのイチロー外野手(38)が23日(日本時間24日)、ヤンキースへ電撃移籍した。若手2投手+金銭の交換トレードで、米紙によると、ヤンキースの年俸負担は200万ドル(約1億5700万円)程度とされる。同日、シアトルでのヤンキース戦前に退団会見で「決断は難しいものだった」と心境を語り、同時に入団会見も行った。そのままシアトルでの古巣戦に真新しい背番号「31」のユニホームに身を包み、「8番・右翼」で先発出場し、1打席目に中前打を放つとすかさず二盗を決めた。
イチローが旧本拠地となったセーフコ・フィールドの三塁側ビジター・ダッグアウトから姿を現すと、球場内からスタンディングオベーションが巻き起こった。スタンドには「さよならイチロー」「THANKS ICHIRO」のプレート。
イチローはヘルメットを掲げると、大きく2度頭を下げて声援に応えて打席へ。3回1死走者なし。ヤンキースのグレーのビジター用ユニホームに身を包んでの初打席は、イチローらしい確実な打撃だった。2球目を中前へ痛烈にはじき返すと、中堅スタンドのイチローの安打数を示す「ICHI メーター」は「105」から「106」へと変わった。
守備でも軽快だった。1回2死一、三塁から5番シーガーの右直を捕球すると軽快なダッシュでいつもと反対側のダッグアウトに戻り、新しいチームメートとハイタッチ。スター軍団の中に笑顔で溶け込んだ。
マリナーズ移籍を決めた2000年オフ以来、最大の決断。敵地となったセーフコ・フィールドの景色は何もかもが変わっていた。通い慣れた右翼守備位置への道のりは、三塁側ダッグアウトからはやけに遠い。自分を慕って入団してきた川崎宗則内野手は、相手ベンチから自分を見つめている。
ヤンキース先発の黒田博樹投手は味方となった。時価数千万といわれるイチロー専用のトレーニングマシンは、相手ダッグアウトの裏に置き去りにされたままだ。
イチローが新天地で身につけたのは背番号31だった。マリナーズで慣れ親しんできた背番号51は辞退した。大リーグを志すきっかけとなったヤンキースの名外野手、バーニー・ウィリアムス氏の背番号。イチローはすでにウィリアムズ氏を超える成績を残しているが、これをヤンキースで受け継ぐのは気が引けたからだ。
「51番はボクにとって特別な番号だが、現段階ではとてもボクの方からお断りさせてもらうというか、とてもつけることはできない。新しい番号を自分のものにしたいという気持ちです」
大リーグのスーパースターとなりながら、勝ち星に恵まれないマリナーズに所属していたイチローには、これまで何度かヤンキースへの移籍話が持ち上がったことがある。
最初にイチローにラブコールを送ったのは、ヤンキース前監督のジョー・トーレ氏。在任中、「イチローのような外野手はヤンキースでプレーしてほしい」などとことあるごとに発言。その後もイチローの移籍話が浮上するたびにその相手として名前が挙がるのはヤンキースだった。マリナーズだけではなく大リーグの中でも大きな存在感を示すようになったイチローを獲得できるのは実力、資金力、ステータスを兼ね備えたヤンキースしかなかったからだ。
それだけに、今回のイチローの移籍の決断は遅すぎたとの見方もある。全盛期に請われて移籍するのと、今回の移籍とでは大きく事情が違っており、旬を逸しての移籍となっているからだ。
ヤンキースが今回、イチロー獲得に動いたのは、正左翼手のガードナー外野手が故障で今季絶望とみられているからだ。基本的には左翼手の穴埋めとして起用される予定で、生え抜きスターで固められているヤンキースの中では、外様のベテラン選手の存在感は微妙。この日の8番・右翼での先発も、イチローのチーム内での立場を如実に表している。
イチローの大リーグ第二幕は決して順風満帆ではない。「一番負けているチームから勝っているチームへいくわけだから」。イチローの新しい挑戦が始まった。